行ってきての雑感

 スキーに行くとか行ってきたというと多くの人から、自分も昔はよく行ってたけど近年まったくご無沙汰だという言葉を聞く。ぼくらの世代が二十代の頃は大きなスキーブームでむしろスキーをやらなかったぼくらのような者の方がマイノリティで、多くの人々は週末ともなると雪山に大挙して押し寄せた。

 ホイチョイ映画「私をスキーに連れてって」が87年。この後さらにブームは加速し、そしてバブルの終焉とともにスキー人口も右肩下がりになっていった。

 こうしたレジャー関連の遊びは、短期的に集中しても継続が難しいのかもしれない。

 ゴルフブームもこれと同じような下降線をたどっている。

 しかしバブル時に特に盛り上がりを見せなかったサーフィンが、失われた10年(人によっては20年という人もいる)以降、人気を博し、サーフィンカルチャーが勃興した。いまでは海のそばに移住し、都心に仕事に通うという新しい生活スタイルが生まれるまでになった。若い人たちが新規参入し、その盛り上がりから休止していた人たちまでを巻き込んで海の中は大渋滞だ。

 人が集まればそこに新たな市場が生まれる。湘南あたりにはここ数年新たな商業施設もどんどん増え、そうした移住組やその予備軍に新しいライフスタイルを提案して消費を促している。

 サーフィンは板さえ手に入れれば、他にあまりお金のかからないスポーツ。ウェットスーツなども必要であるが、比較的経済的圧力の低いレジャーである。面白いことにいま極度に盛り上がっているジョギングも経済を圧迫しないスポーツだ。

 失われた10年というのは、人々の余暇の過ごし方まで変えてしまったのかもしれない。

 スキーやゴルフは確かに用具もさることながら移動費や費やす時間負担の多い遊びである。思い立ったからすぐにやろうというにはすこし重い。

 そこがまあ新しいユーザを獲得できない壁なんだろうなと思う。

 ほかに昔とった杵柄世代も、当時のとてもリゾートとは呼べないスキー環境を思い出し、せっかくの休みにあんな汚い、食事のまずいところへ行く気にはなれないという。スキー場はスキーをする場であって、それ以外のことには二の次という人たちが運営する場にスキーの苦手な人や女性や子供、老齢の人たちはあまり行こうとは思わない。

 しかし低迷を続けてきたスキー業界はこうした過去の反省点を検証し、新たな顧客を生むための努力を最大限始めているようだ。

 そのひとつが道具とウェアのレンタル。

 新品で揃えるとなると10万〜20万円近くかかる。年に数回しか行かない人にとってはこれは気が萎えるポイントである。

 今回ぼくらがお世話になったサロモンステーション。ここには最新式のウェアと用具が一式揃っている。続けるかどうかもわからないスキーに大枚叩いて道具揃える気がない者にとっては、スキーを身じかに楽しめる施設である。

 この度はここで板を借りて滑ったのだが、道具の進化のせいなのか我がフイナム3人組も少しのレクチャーで超初心者から初心者くらいのレベルには達せた。むしろマイ板は上級者になるまで不要かも。移動も楽でいいし。

 スキー場も素晴らしかった。

 知らなかったのだが、野沢温泉スキー場はパウダースキーで内外につとに有名らしい。実際ゲレンデも町中も外国からスキーにやってきた外国人だらけ。ここはどこの国かと見紛うばかり。

 山のてっぺんの方に初心者用の斜面があり、比較的空いているということもあってたっぷりと雪山遊びを楽しんだ。

 食事も諸先輩がたの時代とは異なり、随分進化している。そこらのゴルフ場より遥かに美味しいメニューが揃っていた。

 スキー、温泉、そして美味しい食べ物。比較的余裕のある40,50代も楽しめるすこしラグジュアリーな施設があれば、戻りスキー客は確実にいると思った。

 個人的にはちょっとスキーの虜になりそう。

 今季また雪山行く予定。