シン・ゴジラとか

 この欄に関すると、長い夏休みを取ってしまった。

 しかし水面下では、もうやたらともがいていた8月だった。「転がる坂の下にさらに坂があった」という田原俊彦を批評した故ナンシー関さんの言葉のように、今回扱っている仕事は底が完全に抜けた。この進行で発売日に間に合わすなんて到底無理。関係者もきっと読んでいるであろうこの場でこういうのもなんだが、もっかスタッフ一同、命擦り減らしながら作業中。

 並行してアンプラグドもある。

 明けない夜はない。夜明け前がいちばん暗いというありきたりなクリシェを口ずさみながらコツコツ牛歩のように動いている。

 まあそんな忙中にも閑はある。休みの日には話題のシン・ゴジラなんか見に行ったりした。

 賛否あるらしいけど、実に面白い映画だった。というかこう来たかという感じ。ちょっとやられた。これまでのどんなドラマ、映画にもないアプローチじゃないかなと思う。

 これだけでかいプロジェクトを企画し、運営、実行された監督はじめ関係者の皆さんに素直にすごいと感嘆光線を発し、リスペクトする。

 自分は割と戦国モノの小説が好きだったりする。そこに出てくる人物は戦国武将であったり政を司る政治家であったり、公家、あるいは皇族などである。いわゆる市井の民は主要人物としてでてこない。いわゆる政治的な物語。シン・ゴジラ見ていて、そんな印象を受けた。

 ぼくはエヴァンゲリヲンを見てないし、読んでもいないので、ファンからすると当然なのかもしれないが、知らない人をも魅了する映画だなと素直にシャッポを脱ぎます。

 どうにも古い慣用句が今日が頭に浮かぶ日である。