警備員がユナイテッド

 90年代はじめにアメリカのいろんな都市に頻繁に行く機会があった。まだ会社を立ち上げたばかりだったので節約のため、格安航空券での旅。てるみくらぶなんてなかった時代。ネットで簡単に予約できる航空券もなかった。

 知人の旅行代理店の人にチケットの手配を頼んで、格安でチケットを手配してもらった。同じ航空会社を使うとマイレージがたまるので、利用するのはいつもユナイテッド航空。あまりの頻度にマイル会員ステータスがすぐに上級になり、一度の渡航で得られるマイルでビジネスクラスへのアップグレードができるようになり、そこからは毎回アップグレード。飛行機もいまほど空席がないことはなく、いつもガラガラ、そんな時代の話である。

 サービスはお世辞にもいいと言えるものではなかった。しかし飛行機に乗れば読書するか寝ているか、あるいはお酒飲んでいるかなので付帯サービスについてまったく気にしないタイプ。

 ほぼ毎月どこかへ行っていたので、四六時中時差ぼけ。このあたりから夜に弱くなっていくのであった。

 具体的な理由はどうだったかもう忘れたが、搭乗中フライトアテンダントを手伝ったか席を移っただかで、こっそりシャンパンを一本もらったことがある。牧歌的な時代だったなあ。

 そんなことを例のニュースで思い出していた。

 例のニュース、つまりオーバーブッキングした飛行機からランダムに降ろす客を選び、無理やり引きずりだした件である。ひどいを通り越して言語道断な振る舞いである。まったく承諾できない。

 ちなみにボランティアすると、翌日15時のフライトで800ドルとホテル滞在費というから気前は悪くはない。日本の場合、同日なら1万円、翌日で2万円らしいから大盤振る舞いと言っていい。

 でもみんな大事な用があって、お金を払って飛行機乗っているわけですよ。

 ところでこうした場合、航空会社は協力者を募る前にステータスを見分けて声かけするらしい。マイル上級会員、プロパー購入者、そしてディスカウントでもいろいろランクがあるのでそこでクラス分けされ、一番下の集団から声かけするのがセオリーだそうだ。きっとマイルで特典旅行なんてやっていると真っ先に降ろされるだろう。

 あれだけ溜めていたユナイテッドのマイルだが、その後ヨーロッパにも頻繁にいくようになったので、日系航空会社に変更しようと同じアライアンスの全日空に移行した。

 いま考えると良かったと思う。

 しばらくユナイテッドには乗りたくない。