レスキュー

 個人的には梅雨は空けたと思っている。また雨もくるかもしれないが、それはそれ。台風一過後の天気は完全に真夏だ。

 歩くだけで汗が吹き出す。午前中でも陽の力は強い。

 先ほど恵比寿に用事があり出かけた。途中、キッチン・ボンのある五叉路に差し掛かってみると多くの人が立ち止まり一点を見つめている。なにかと思い目を向けてみると事故があったようだ。女性が道路中央の横断歩道の上でうつ伏せになって倒れている。周りには数人の人だかり。携帯電話をかけている人、声をかけている人など。黒い車と赤い原付きバイクが止まっていたのでどちらかと接触したのかもしれない。

 ニッカボッカを身につけたガテン系の男性がせわしなく動きまわり、声を掛けていた。こういう時にもっとも頼りになるのは、背広を着たサラリーマンではなく、傾向としてこういう人だ。

 あまりジロジロ見るのも悪いと思い、用を足しに行った。ほんの5分ほどで終る用件。戻ろうとまた五叉路を通ったのだが、まだ救急車は来ていない。警察官と刑事らしき人が数人。ちょうどその時サイレンの音が聞こえた。

 不謹慎だが、近くでその救援作業を見せてもらった。単なる野次馬根性である。この照りつく暑さの中、10分以上倒れたままの女性。ずっと同じ姿勢。動けないくらいのダメージなのだろう。もう少し早く救急車は来れないのかなどと心中思ったものの、彼らの献身的でスピーディな処置は素晴らしかった。体の向きを変えた時、遠目に顔が見えたのが、思いの外ダメージが大きかった。

 しかし救急隊員の落ち着きからするとその女性は大丈夫だろう。なんだかこちらがありがとうと彼らを労いたい気持ちになった。

 救急車が去ると、我々野次馬も蜘蛛の子を散らすよう三々五々思い思いの方面へ。

 暑い中、熱いアスファルトの上に横たわっていたあの女性は大変だったと思う。早い回復を祈っています。