日本はまだデフレですよ

 最近革靴を手に入れたのであるが、いまの売価と昔の売価の違いに戸惑っている。昔といってはなんだが、およそ25年ほど前、オールデンなどは3万円台で手に入った。いまではご承知の通り。

 そりゃあ25年もすれば値段は上がるのは当然でしょと突っ込まれそうである。

 しかし25年前と現在、日本の靴作りのコストというのはほとんど同じという事実を知るとどうだろうか? 平たく言えば国産の靴の値段はほとんど変わりがないのである。

 日本のものは値上がりせず、外国の製品は値上がりしている。

 つまり日本はこの20数年間ずっとデフレ気味だったのに対し、諸外国は少しずつインフレが起こっていたことになる。

 日本製品は外国から見るととてもリーズナブルなものなのかもしれない。あるいは飲食費や滞在費も。最近の外国人の増え方を見る限り、たぶんそうなのだろう。

 バブルの時は世界で最も物価の高かった都市だった東京もいつの間にか観光客にとっては魅力的な都市になったのかもしれない。

 一方でそんな東京でも暮らしずらいという貧困層も増えている。

 奇しくもトマ・ピケティ氏が来日中だ。

 インフレ国での格差問題と、デフレ国のそれではまた視点が違うのではないかなんて靴擦れを我慢しながら考えた。