通りに名を

 以前から思っていたこと。

 オリンピックだ、インバウンドだ、おもてなしだと騒いでいるが、旅行者に向けた肝心な施策がまだまったく話されていない。駅のサインを英語表記にするとかそれ以前の問題。なにかというと住所表記の問題である。

 ストレンジャーはだいたい行きたい場所の住所をもらって地図を利用し目的地に向かう。しかし現行の日本の住所表記はわかりにくくてしょうがない。二丁目があったから道を隔てて隣に行ってみると五丁目だったり。その二丁目の9番もその二丁目ブロックのどっち側かまったくわからない。せめて諸外国のように通りに名前さえ付いていれば。

 これなのである。諸外国へ行けばどんな小さな通りにも名前が付いていて、番地+通り名が住所なのである。すべての通りに看板があり、いま自分がどこにいるのか通り名でわかるという寸法だ。

 これをぜひ日本にも取り入れてほしい。

 現行の所番地をやめなくても、これから通り名を付けてこの先数十年併用すればいい。あとは自然に有用な方が残る。

 少なくとも大きな通りには名前がほしい。

 いつも困るのが恵比寿駅の東側を南北にからさらに東へ通る道。スタジオエビスやら、猿田彦珈琲がある通り。五差路を越えると昔ゼストがあったあの通りだ。

 これをタクシーに説明するときに恵比寿の駅裏の「田町に向かうバス通り」とか「恵比寿三丁目に向かう方」とかいうのだが、どうもピリッとしない。先は北里研究所前を抜け国道一号へぶつかる道なので「北里研究所通り」をこちらまで引っ張ってもらいたい。

 そういう名前の定着してない通りは案外多い。なんなら我々で通り名をどんどん勝手につけていくというのはどうだ。

 80年代に雑誌が勝手につけたファイヤー通りとかキラー通りのように。