はじめてのトレラン
若い頃というか何かがわかり始めた頃というのが、我が人生の中で一番バカだったと思う。知ったかぶりになってなんでもわかった気がしていた。日々すこしずつ勉強し、物事を知れば知るほど、自分が何もわかっていないんだなあということを知る。いったいいつになったらわかるようになるんだろう。その問いを求めるのが人生なのかもですね。
東京都知事選。若いころなら応援する候補者をもっと簡単に選んでいたかもしれない。しかしこの歳になると、いったい誰を応援していいのかさっぱりわからなくなっている。投票前日まで決められなさそうだ。難しい。
それにしても候補者のうち3名だけがニュースになって、残り18名は名前だけ紹介するというテレビの報道はどうなんだろうと思う。アンフェアじゃないか。21名全員集めて、クイズショーのような質疑応答番組のようなものをやると東京都民ははたして喜ぶのではないか。知性やら社会適合性やら人間性なんかが垣間見られる。テレビの関係者には、ぜひそんな企画をお願いしたい。
さて。今日の本題はここから。
週末野沢温泉へトレイルランニングに行ってきた。初めてのトレイルラン。これまでフルマラソンは3回、ハーフは覚えてないけど10回くらいでているが、未舗装路を走るのはこれがはじめて。事前に練習もなにもまったくしないでのチャレンジである。
トレランというと勝手に風景の開けた野山を颯爽と駆け抜ける壮大で爽快なイメージである。
しかしこの度のレースに出て、見方が180度変わった。
これ、野山を駆けるいうのは文字通りそうなんだけど、むしろ山登りを走りながらするという方が近い。あるいは走りながら山登りをする!? か。
この大会は3コースのエントリがあって、短いものから14km、23km、65kmとある。自分は真ん中の23kmのエントリをお願いしていたのだが、他メンバーの都合で14kmに縮められた。結果としてはそれが良かった、というかそれに助けられた。14kmゴールする直前からもう限界で、足は上がらず、息もできない。こんなにバテたのははじめてのフルマラソン以来。最後2kmくらいの舗装路はずっと歩いた。他の歩く競技者にもどんどん追い抜かれるほどの牛歩戦術。ひとり野党か、と毒づきながら足を引きづっていた。
23kmと65kmを完走した参加者の皆さんに心よりのリスペクトを。
ちなみにうちのフイナムランニングクラブの部長・榎本と副部長・山本のふたりは65kmを走りきった。いやあすごい。さらに100マイルとかトルデジアン(330km)とか走る人は、いったいどんな生活しているんだろう。
個人的にこの14kmコース、小岩を敷いた階段のような登りがあるのだけど、これが行けども行けどもてっぺんにたどりつかない。事前にインストラクターの方にくじけるので決して上を見るなと言われた難所。まるで魔界の迷路に誘われたような、堂々めぐりさせられているんじゃないかと疑うレベル。そろそろてっぺんだろというなだらかな坂になってもまだ先に階段状の急峻な登りがある。
途中鎖場という鎖を辿ってしか登れないような大きな岩場を登るポイントがあり、なんとなくそこのすぐ先に頂上があると期待していたのだが、その夢はもろくも崩れることになる。
もう何度心が折れたか。人間ってここまで汗をかけるんだ、ここまで心臓の鼓動って早く打てるんだ、などと感心しながらしかも毒づきながら登りきった。
で、嬉しく楽しいはずの下りであるが、これがまた同じように急すぎて、自分レベルでは走って降りることはできない。他の競技者はレースカーのようにどんどん自分を追い抜いていくのだが、こちらは段差を一段一段ゆっくり降りるしかない。スロープも急すぎてスピード出すぎるので調整すると前腿の筋肉が悲鳴をあげる。まさか下り坂でも止まって休み、歩くとは思わなかった。
ともかくこうやっていま東京・代官山のオフィスでこんな駄文をかけるくらいには回復したが、レースの後は喋る気力もなく、食べる体力も残っておらず、温泉に入れば湯に当たり負けし、ぐったり。もう散々な目に遭いました。もう二度と出ませんと帰りの蕎麦屋さんでみんなに宣言する始末。
昨日、今日と激しい筋肉痛で日常生活に支障をきたしているが、やはり数日経つと記憶は美化されるのかまた出てもいいかなくらいなことをふと考えていたりする。三歩あるくと忘れるバカなのか。これだと若い頃となにも変わってないじゃないか。
ちなみに今回のお供シューズはこのサロモンのスピードクロス3 GTXというモデル。確か「地球をつかめ」とかいうキャッチコピーの商品。たしかに雨上がりの濡れた土泥や岩場でもがっつりとしたグリップを発揮し、つるつるソールで走っていた地元の中学生のような子を途中石の階段で追い抜いた。それはこの靴のおかげ。
ドロドロになったまま放置しているが、体力回復したところで一度洗ってあげようと思う。