瓦とジーンズ

 昨日撮影でビンテージジーンズが必要ということなので自分のストックを貸した。デッドストック状態でリーバイスが10本、リーが2本。あれ?もうすこしあったような気がするんだが。誰かもっていっちゃったか?

 サイズはどれも自分サイズ。大昔、知人の新婚旅行についていったフロリダで当てたものである。ジーンズ屋の奥のストックにあったデッドストック全部買った。確か20本足らず。何本か下ろして履いた。いま残っているのはその時のもの。

 どうにももったいなくて下ろせないでいる。それでリーバイスやリーのビンテージ復刻の新製品を買って履いたりしている。どうにも変な話である。

 もし本物持ってなかったら、たぶん現行復刻モデルを履かないと思う。本物を持っているという安心感、自信からべつに何履いてもいいやという気になっているのかもしれない。

 でもそうなると一体これいつ履くんだろう? 売る気も譲る気もないし。

 昔読んだどこかの童話で爺さんか婆さんだったか、夜な夜な庭の地面を掘り起こしおしまいこんだ壺に入った金を数えるというのがあった。お金を数えるのがこの爺さんだったか婆さんだったかの最大の楽しみだったのだ。それを見つけた泥棒がお金を盗んで壺に瓦を入れて逃げた。

 気づいた爺さんだったか婆さんだったかは、絶望するのだが、近くに住む人がどうせ使わないお金、それならお金を数えるのも瓦を数えるのも同じと諭すというものであった。

 このジーンズ、気がつくと瓦に変えられたりしているかも。