パリ協定

 はじめてボストンに行ったのはたしか27年前の今ごろ。6月になっているので、爽やかな初夏だと思っていたら豈図らんや、まるで冬であった。いうなれば東京の4月の寒い日と言ったほうが近いか。

 着るものをほとんど準備していなかったので、適当にアーミーネイビーショップで見繕って寒さを凌いだ記憶がある。

 映画「プリティウーマン」が公開されたばかりで暖房の効きまくった劇場でそれを見た。外へ出ると服を重ね、屋内に入ると服を脱ぐ。結構アメリカは面倒なのであった。

 外出先から居候先のアパートに戻ると室内は熱いきれでむっとしている。無人の部屋であろうと、セントラルヒーティングシステムのスチーム暖房が居室はいうに及ばずキッチンやバスルームにまで効きまくっている。あまりに暑いので窓を開けざるを得ない。聞くところによると真冬の極寒、マイナス10度の日でも暖房が効きすぎて、窓を開けて室温を調整する住人もいるという。エネルギーの無駄遣い極まりない。

 ドナルド・トランプ大統領がパリ協定を離脱する決意をしたという。

 あれだけ無駄遣いをしているエネルギー消費大国が、一部の自国民の雇用を守るとはいえ地球温暖化に与するような行動に出るのは、地球に暮らすすべての生物にとって脅威である。年々暑くなるこの日本に住んでいて、ちょっと待ってくれよといいたくなる。

 特に今年の夏は過去類を見ないほど暑くなりそうとの長期予報である。

 このままいくと数年後にはどうなっているのだろう。

 アメリカのエネルギー無駄遣いを止める方法はないもんだろうか。